運動用アプリケーション向けに導電性PTFEシール材料を開発

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<br />運動用アプリケーション向けに導電性PTFEシール材料を開発

トレルボルグ シーリング ソリューションズでは、金属スプリング内蔵シールと組み合わせシール用にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ベースの導電性シール材料:ターコン® MC1とターコン® MC2を開発しました。本材料を使用したシールとベアリング製品は、運動環境下で信頼性の高い導電性を発揮します。

Konrad Saur (Trelleborg Sealing Solutions社、Vice President Innovation & Technology)によると、『ターコン® MC1とターコン® MC2は、駆動装置、eモビリティそしてセンサーやIoTといった電動化への対応という強い市場ニーズにお応えするため、金属スプリング内蔵シール、組み合わせシール、ベアリング向けに開発された独自の材料となっています。』 

本材料を開発した当社ヘルシンガー(デンマーク)工場の開発マネージャー:Soeren Roepstorffによると『導電性エラストマー材料は既に市場に存在していますが、これら主に固定用向けとなっています。また、導電性でありながら、射出成型が可能な樹脂材料も存在はしますが、柔軟性が低く、シールとして使用することや一体溝への組み付けには不向きな材料です。』

Soeren Roepstorffは続けます、『一方、ターコン® MC1とターコン® MC2は、お客様からの運動用シールやベアリングとして使用できる効果的で信頼性の高い導電性樹脂シール材に関する強い要望にお応えできるシール・ベアリング材となっています。これらの材料を使用することで、設計開発者は、PTFEベースのシール形状による幅広い優れた利点と、例えば、導電性が求められる油圧システムやサーボモータなどの用途において、これらの新材料が発揮する全ての利点も活かし機器開発が行えます。』

純PTFEの電気抵抗率は、約2×1017Ω・cmと優れた絶縁体ですので、PTFE材を導電性として使用するには、導電性の充填剤を添加し、PTFE材料構成内で通電するような特性を与える必要があります。また、歴史的に、導電性PTFE材料は“閾値”以上のカーボンが充填された材料のみでした。

さらに、これらカーボン充填PTFE材料により達成された導電性は、偶然的な出来事であり、本来の開発目的ではありませんでした。ターコン® MC1とターコン® MC2は異なり、運動用のシール材料として特別に開発された材料となっているため、運動用途でのシール性能が最適化された材料となっています。

導電性シール材料は、次のようなアプリケーションで重要な役割を果たします。:

  • 航空機において、最悪のシナリオは、機体が飛行中に落雷を受け、外傷が無いが静電気が蓄積されることです。例えば、このような場合、ランディングギアに導電性シールを使用することで、電流や静電気を安全に散逸させることができます。
  • 2つ部品の間を通電することで、サーボモータ等の機器やシステム内で火花や迷走電流が発生することがあります。これにより、ハードウェアのくぼみや、潤滑油やグリースの炭化が発生する場合があります。導電性シールやベアリングを使用することで、2つの部品間でアース効果を発揮し、これらの問題が起きません。
  • 意図的にシステム内のセンサーなどからシグナルを送る必要があります。導電性シールやベアリングを最適化することで、このシグナル転送が可能となり、システム開発者が、例えばAIを搭載させたより複雑なシステムを、新たな電気回路部品の必要とせず開発できるようになります。

導電性のターコン® MC1とターコン® MC2の開発に際し、トレルボルグの社内ラボで、実際の使用環境をシミュレーションした特別なテスト装置よる試験を実施しました。ターコン® MC1とターコン® MC2は、接触面圧が低い場合であっても、ドライ環境下では、高い導電性を示しました。またオイル内で使用した場合にでも、抵抗は低く、導電性が高いという結果を得ています。

ターコン® MC1は、充填量が中程度の材料で、中~高導電性が必要とされる運動用途向けの材料です。ターコン® MC2は充填量が高い材料で、高導電性が必要となる運動用途向けの材料です。